Evolton

東京大学 2004年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

半径10の円Cがある。
半径3の円板Dを,円Cに内接させながら,円Cの円周に沿って滑ることなく転がす。
円板Dの周上の一点をPとする。
Pが,円Cの円周に接してから再び円Cの円周に接するまでに描く曲線は,円Cを2つの部分に分ける。
それぞれの面積を求めよ。

難易度8/ 10計算量7/ 10目安30

積分三角関数図形と方程式 座標設定面積計算三角比の利用

方針

C の中心を原点、最初の接点を (10,0) に取る。半径3の円板の中心は半径 7 の円を動くので (7cost,7sint) と置ける。内側を滑らずに転がる条件から、点 P の円板中心に対する向きは中心の回転に対して逆向きに 7t/3 だけ回転する。これで P の媒介変数表示を作り、OP=10 となる最初の t を求める。面積は、曲線が原点に対して掃く面積 12(xyyx)dt と、円 C の対応する扇形面積との差で求める。

解答

C の中心を原点 O とし、最初に点 P(10,0) で円 C に接しているとする。円板 D の中心を S とすると、S は半径 103=7 の円周上を動く。そこで S=(7cost,7sint) とおく。

円板が滑らずに内側を転がるので、中心 S が角 t だけ進む間に、円板は中心のまわりに逆向きに 73t だけ回転する。したがって点 P の座標は{x=7cost+3cos7t3,y=7sint3sin7t3と表される。

次に、点 P が再び円 C の円周に接する時刻を求める。上の式からx2+y2=49+9+42(costcos7t3sintsin7t3)=58+42cos10t3である。円 C の円周上にある条件は x2+y2=100 であるから、58+42cos10t3=100 すなわち cos10t3=1 である。t>0 で最初にこれが成り立つのは 10t3=2π のときなので、t=3π5 である。

曲線と円 C の円弧で囲まれる小さい方の面積を求める。まず、点 P が描く曲線と原点 O を結ぶ線分が掃く面積は、微小な三角形の面積を足し合わせる考えから 1203π/5(xyyx)dt である。ここで上の媒介変数表示を微分して整理すると xyyx=56sin25t3 となる。よって曲線が掃く面積は1203π/556sin25t3dt=2803π/5sin25t3dtである。u=5t3 とおくと、t=0 から 3π/5 まで動くとき u0 から π まで動くので、2803π/5sin25t3dt=28350πsin2udu=2835π2=42π5である。

一方、最初と次の接点を結ぶ円 C の弧に対応する扇形の中心角は 3π/5 である。したがってその扇形の面積は 121023π5=30π である。曲線はこの扇形の内部を通るので、曲線と円弧で囲まれる小さい方の面積は 30π42π5=108π5 である。

C 全体の面積は 100π であるから、もう一方の面積は 100π108π5=392π5 である。したがって求める2つの面積は 108π5,392π5 である。

条件・検算

次の接触時刻 t=3π/5 では始点と異なる円周上の点に到達する。二面積の和は 108π/5+392π/5=100π で円 C の面積と一致する。

総評

難度8、計算量7。目安時間は35〜45分。最大の山は、内側を滑らずに転がる円板上の点の媒介変数表示を正しく作ることである。中心は半径7の円を動き、点 P の相対位置は逆向きに 7t/3 回転するため、符号を誤ると次の接触時刻も面積も変わってしまう。面積計算では、曲線が原点から見て掃く面積と、円 C の扇形面積との差を取る構成を明確にすることが重要である。xyyx の整理は重いが、最終的に 56sin2(5t/3) まで落ちるので、そこまでの計算を答案に残すと検算しやすい。

冊子PDFで見る東大の積分の問題で問題集を作る

出典: 東京大学 2004年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。