方針
まず x=0 を代入して b を決め、両辺を微分して f(x)+f(−x) を求める。f(0)=1 から a が決まる。次に f を cosx と残り g(x) に分けると、g は奇関数になる。最後は f2=(cosx+g)2 を展開し、偶関数と奇関数の積の積分が0になること、g2 の積分が非負であることを使う。
解答
(1)
与えられた式 ∫−xxf(t)dt=asinx+bcosx に x=0 を代入すると、左辺は0であり、右辺は b である。よって b=0 である。
次に両辺を x で微分する。左辺は上端と下端の両方が動くので dxd∫−xxf(t)dt=f(x)+f(−x) である。右辺は、b=0 より acosx である。したがって f(x)+f(−x)=acosx を得る。ここで x=0 とすると 2f(0)=a であり、f(0)=1 だから a=2 である。よって a=2,b=0 である。
(2)
(1) より f(x)+f(−x)=2cosx である。g(x)=f(x)−cosx とおくと、g(x)+g(−x)={f(x)−cosx}+{f(−x)−cos(−x)} である。cos(−x)=cosx だから g(x)+g(−x)=f(x)+f(−x)−2cosx=0 となる。したがって g(−x)=−g(x) であり、g(x) は奇関数である。
(3) f(t)=cost+g(t) と書くと f(t)2=cos2t+2costg(t)+g(t)2 である。cost は偶関数、g(t) は奇関数なので、costg(t) は奇関数である。したがって x≧0 のとき ∫−xx2costg(t)dt=0 である。
よって∫−xxf(t)2dt=∫−xxcos2tdt+∫−xxg(t)2dtである。最後の積分は被積分関数が常に0以上なので ∫−xxg(t)2dt≧0 である。したがって ∫−xxf(t)2dt≧∫−xxcos2tdt が成り立つ。
別解
解法2
方針
積分方程式から f の偶関数部分を抽出し、偶奇分解の直交性で平方積分の不等式を示す。
解答
(1)
偶関数部分を取り出す。F(x)=∫−xxf(t)dtは F(0)=0 だから、右辺へ x=0 を代入してb=0.またF′(x)=f(x)+f(−x)=acosx.x=0 では 2f(0)=a だからa=2.(2)
上式より2f(x)+f(−x)=cosx.すなわち f の偶関数部分は cosx である。したがってg(x)=f(x)−cosxは f の奇関数部分であり、g(−x)=−g(x).(3)
偶奇分解の直交性を使う。
対称区間上では偶関数と奇関数の積の積分は0である。よって∫−xxf(t)2dt=∫−xx{cost+g(t)}2dt=∫−xxcos2tdt+∫−xxg(t)2dt.最後の項は非負だから∫−xxf(t)2dt≧∫−xxcos2tdt(x≧0).
総評
積分方程式から偶関数部分を取り出す問題。目安時間は18分前後。微分するときに下端 −x からの寄与が +f(−x) になる点を落とさないことが重要である。(3)は式を展開して力任せに評価するのではなく、偶関数と奇関数の積が奇関数になるという対称性を使うと明快に書ける。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、必要十分性、極限、図示範囲、途中計算まで確認した。
冊子PDFで見る北大の積分の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 1994年度 前期 理系 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。