方針
与式は積分方程式だが、両辺を微分すると f についての一次の微分方程式になる。まず x=0 を代入して初期値 f(0)=1 を得る。微分後は、f で割る前に f(x)ex2/(x2+1)2 の導関数を作れば、途中で f が0かどうかを気にせず解ける。極値は得られた明示式が正であることを使い、f′(x) の符号を x(1−x2) で判定する。
解答
(1)
与えられた式で x=0 とすると、積分部分は0であるから f(0)=1 である。
次に両辺を x で微分する。左辺は dxd{(x2+1)f(x)}=2xf(x)+(x2+1)f′(x) である。右辺は積分の上端が x なので x2f′(x)+x2+14xf(x) である。したがって 2xf(x)+(x2+1)f′(x)=x2f′(x)+x2+14xf(x) となる。整理してf′(x)=(x2+14x−2x)f(x)=x2+12x(1−x2)f(x)を得る。
ここで g(x)=(x2+1)2ex2f(x) とおく。すると積の微分により g(x)g′(x) に相当する係数は f(x)f′(x)+2x−x2+14x であり、上で得た式から0になる。割り算を避けて直接微分しても同じく g′(x)=0 が得られる。したがって g(x) は定数である。g(0)=f(0)=1 だから g(x)=1 であり、f(x)=(x2+1)2e−x2 である。
(2) (1) の結果から f(x)>0 である。また f′(x)=x2+12x(1−x2)f(x) であり、x2+1>0、f(x)>0 なので、f′(x) の符号は x(1−x2) の符号で決まる。
符号を調べると、x<−1 で f′(x)>0、−1<x<0 で f′(x)<0、0<x<1 で f′(x)>0、x>1 で f′(x)<0 である。したがって x=−1,x=1 で極大値をとり、x=0 で極小値をとる。
値は f(−1)=f(1)=4e−1=e4 であり、f(0)=1 である。よって 極大値 e4 を x=±1 でとる 極小値 1 を x=0 でとる である。
別解
解法2(部分積分から積分方程式を簡約)
方針
積分中の t2f′(t) を部分積分し、与式を初期値1の簡単な積分方程式に直す。候補関数の導関数が被積分関数になることから決定し、偶関数性を使って極値を調べる。
解答
(1)
与式中の第1項を部分積分すると∫0xt2f′(t)dt=x2f(x)−2∫0xtf(t)dt.これを与式へ代入して x2f(x) を両辺から消すとf(x)=1+∫0xt2+12t(1−t2)f(t)dt.ここでF(x)=(x2+1)2e−x2と置くと F(0)=1 であり、直接微分してF′(x)=x2+12x(1−x2)F(x)を得る。したがって微積分の基本定理により F は上の積分方程式を満たす。さらに、その式の両辺を微分すれば初期値 f(0)=1 をもつ同じ一次関係になり、解は一意である。よってf(x)=(x2+1)2e−x2.(2)
f は偶関数なので x≧0 を調べればよい。z=x2 と置くとf=(z+1)2e−z.z≧0 について微分するとdzd{(z+1)2e−z}=(z+1)(1−z)e−z.したがって 0<z<1 で増加し、z>1 で減少する。元の x へ戻すと極大値 e4 を x=±1 で取り、極小値 1 を x=0 で取る。
総評
積分方程式を微分方程式へ直す問題で、目安は18分。x=0の初期値を先に取り、fで割らない形の積分因子または部分積分を用いると零点の議論を避けられる。極値では偶関数性も利用する。
冊子PDFで見る九大の微分の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 1987年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。