方針
側面の最短経路は円錐を展開して直線で考える。(1) では母線長と扇形の中心角を出し,底面で半周離れた A,B が展開図ではどれだけ離れるかを弧長対応で決める。(2) では展開図上の三角形 CAP に正弦定理を用いて CP2 を sinθ で表す。(3) は設問文の分母が OQ2 となっているが,直前に垂線 PR を定義していること,および既存解答の流れからは OR2 と読むのが自然である。印字通りの場合も確認し,意図された比では t=sinθ の三次式を最大化する。
解答
(1)
底面の直径は AB=2 であるから,底面の半径は 1 である。高さは 3 なので,母線の長さは 12+(3)2=2. 側面の展開図は半径 2 の扇形である。扇形の弧長は底面円周 2π に等しいから,中心角を ϕ とすると 2ϕ=2π より ϕ=π. 点 A,B は底面円で半周だけ離れているので,対応する弧長は π である。展開図の半径は 2 だから,展開図上での中心角は 2π である。したがって側面上の最短経路 l は,展開図上で半径 2,中心角 π/2 の弦となる。よって l=2⋅2sin4π=22. (2)
展開図上で,弧 AQ に対応する底面での中心角が θ であるから,展開図上での中心角 ∠ACQ は θ/2 である。点 P は直線 AB と半直線 CQ の交点なので,三角形 CAP に注目する。
展開図で CA=CB=2,∠ACB=90∘ であるから,∠CAP=45∘ である。また ∠ACP=θ/2 である。したがって∠CPA=180∘−45∘−2θ=135∘−2θ.正弦定理よりsin45∘CP=sin(135∘−θ/2)CA=sin(135∘−θ/2)2.ここでsin(135∘−2θ)=21(sin2θ+cos2θ)であるから CP=sin(θ/2)+cos(θ/2)2. したがってCP2=(sin(θ/2)+cos(θ/2))24=1+sinθ4.(3)
問題文の分母をそのまま OQ2 と読むと,OQ=1,OS=cosθ であるから OQ2OS2=cos2θ. 範囲が 0∘<θ≦90∘ なので,この値は 1 にいくらでも近づくが,θ=0∘ が含まれないため最大値は存在しない。
一方,垂線 PR を定義していることから,設問意図は OS2/OR2 の最大値を問うものと考えられる。この場合を求める。軸を含む断面で見ると,OR は CP の底面方向成分であり OR=CPsin30∘=2CP. (2) より OR2=4CP2=1+sinθ1. また,底面で A から OQ へ下ろした垂線の足を S としているから OS=cosθ. したがって,t=sinθ とおくと 0<t≦1 で OR2OS2=cos2θ(1+sinθ)=(1−t2)(1+t). これを F(t)=−t3−t2+t+1 とおくと F′(t)=−3t2−2t+1=−(t+1)(3t−1). よって 0<t≦1 では t=1/3 で最大となる。その値はF(31)=(1−91)(1+31)=98⋅34=2732.
別解
解法2
方針
円錐の展開図に座標を入れる。頂点 C を原点、展開図上の A,B を座標軸上に置くと、最短路は直線 AB になり、半直線 CQ との交点を連立方程式で求められる。第(3)問は原典の印字どおりの場合と、定義された R を使う設問意図の場合を分ける。
解答
母線長は2、側面の展開図は半径2、中心角180度の半円である。展開図上でC=(0,0),A=(2,0),B=(0,2)と置ける。
(1)
最短路は弦 AB だからl=AB=22+22=22.(2)
底面中心角が θ のとき、展開図上の角は θ/2 である。よってQ=2(cos2θ,sin2θ).P は半直線 CQ と直線 AB:x+y=2 の交点なので、P=tQ,2t(cos2θ+sin2θ)=2.従ってCP=2t=cos(θ/2)+sin(θ/2)2であり、CP2=1+sinθ4.(3)
原典の印字どおりでは OQ=1, OS=cosθ だからOQ2OS2=cos2θ.0∘<θ≦90∘ では上限は1だが、θ=0∘ が含まれないので最大値は存在しない。
定義された点 R を使う OS2/OR2 が設問意図なら、相似より OR=CP/2 である。t=sinθ とおけばOR2OS2=(1−t2)(1+t)となり、微分して t=1/3 のとき最大値 32/27 を得る。
総評
展開図に直して弦や三角形で処理する典型的な円錐問題である。所要時間は15分程度。(1) は扇形全体の中心角 π と,直径の両端 A,B に対応する中心角 π/2 を混同しやすい。(2) は展開図上の角が底面中心角の半分になる点が核心で,正弦定理の角 135∘−θ/2 を丁寧に出せばよい。(3) は問題文に OQ2 とあるままでは最大値が存在しないため,答案ではこの不整合を明記したうえで,設問意図と思われる OR2 の場合を処理するのが安全である。 主解法と第2解法を別々に再計算し、条件範囲、端点、等号成立条件まで照合した。
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出典: 九州大学 1999年度 前期 文系 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。