方針
背理法で示す。ある a>0 で f(a)≦1 と仮定すると、f′(x)>0 より f は [0,∞) で厳密に増加する。したがって 0≦t<a では f(t)<f(a)≦1 となり、積分は∫0af(t)dt<aとなる。これは与えられた∫0xf(t)dt≧xに x=a を入れたものと矛盾する。
解答
背理法で示す。ある a>0 に対して f(a)≦1 であると仮定する。 x≧0 で常に f′(x)>0 であるから、f(x) は [0,∞) で厳密に増加する。したがって 0≦t<a ならば f(t)<f(a)≦1 である。
よって∫0af(t)dt<∫0a1dt=aとなる。ところが、問題の仮定に x=a を代入すると∫0af(t)dt≧aでなければならない。これは矛盾である。
したがって、どの a>0 に対しても f(a)≦1 は成り立たない。ゆえに x>0 ならば f(x)>1 である。
\newpage
別解
解法2(平均値を終点の値と比べる)
方針
f′(x)>0 から f は狭義増加である。
区間 [0,x] での平均値が終点の値 f(x) より真に小さいことと、積分条件を直結する。
解答
任意の x>0 を固定する。f は狭義増加だから、0≦t<x で f(t)<f(x) である。
したがって∫0xf(t)dt<∫0xf(x)dt=xf(x).一方、仮定よりx≦∫0xf(t)dt.これらから x<xf(x) を得る。x>0 で割れば f(x)>1 である。
総評
難度は10段階中5、計算量は10段階中3程度。想定時間は10分から14分程度。増加性と積分条件を組み合わせる短い証明である。採点では、f(a)≦1 と仮定する背理法、0≦t<a で厳密に f(t)<1 となること、積分にも厳密な不等号が残ることが重要である。等号の扱いを曖昧にしないことが答案の要点になる。
冊子PDFで見る名大の微分の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 1981年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。