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東北大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

原点(0, 0)をOとし,
行列A=(abcd)によって表される1次変換をfとする.
3点P1(1, 0),P2(12, 12),P3(0, 1)の
fによる像をそれぞれP1′,P2′,P3′とおく.

OP1′→⋅OP1→=1,
OP2′→⋅OP2→=3,
OP3′→⋅OP3→=3であるとき,
次の問に答えよ.
ただし,OPi′→⋅OPi→ (i=1, 2, 3)は
OPi′→とOPi→の内積を表す.

(1) {}a,b,cを求めよ.

(2) {}点P(cos⁡t, sin⁡t)のfによる像をP′とする.
tが0≦t≦πの範囲で変化するとき,
OP′→とOP→の内積OP′→⋅OP→の最大値と最小値,
およびそれらの値を与えるtの値を求めよ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安15分

ベクトル、三角関数、行列 内積の利用、三角比の利用、範囲評価

方針

各条件は、移った点と元の単位方向ベクトルの内積を計算すればよい。P1 から a=1、P3 から d=3、P2 から b+c=2 が決まる。b と c は個別には決まらないが、(2)で必要なのは和 b+c だけである。P=(cos⁡t,sin⁡t) について内積を三角関数で整理し、2+2sin⁡(2t−π/4) の最大最小を読む。

解答

(1)

まず P1=(1,0) である。P1 が移った点は(ac)であるから、条件 OP1′→⋅OP1→=1 は (a,c)⋅(1,0)=a=1 を意味する。したがって a=1 である。

次に P3=(0,1) である。P3 が移った点は(bd)であるから (b,d)⋅(0,1)=d=3 であり、d=3 である。

さらに P2=(12,12) である。P2 が移った点は (a+b2,c+d2) なので、内積は a+b+c+d2 である。これが3に等しいから a+b+c+d=6 である。a=1、d=3 を代入して b+c=2 を得る。

以上より、条件から決まるのは a=1,d=3,b+c=2 である。b と c は個別には定まらないが、次の設問では和 b+c だけが必要である。

(2) P=(cos⁡t,sin⁡t) とおく。この点が移った点を P′ とすると OP′→=(acos⁡t+bsin⁡t, ccos⁡t+dsin⁡t) である。したがってOP′→⋅OP→=(acos⁡t+bsin⁡t)cos⁡t+(ccos⁡t+dsin⁡t)sin⁡t=acos⁡2t+(b+c)sin⁡tcos⁡t+dsin⁡2tである。

(1) で得た a=1、d=3、b+c=2 を代入するとOP′→⋅OP→=cos⁡2t+2sin⁡tcos⁡t+3sin⁡2t=2−cos⁡2t+sin⁡2t=2+2sin⁡(2t−π4)である。 0≦t≦π なので 2t−π/4 は −π/4 から 7π/4 まで動く。この範囲で sin⁡ は最大値1、最小値 −1 をとる。

最大値は 2+2 であり、これは 2t−π4=π2 すなわち t=3π8 のときである。

最小値は 2−2 であり、これは 2t−π4=3π2 すなわち t=7π8 のときである。

原問題の(1)は a,b,c を求めるよう記載されているが、与えられた3条件だけでは b,c を個別には決められない。決定できるのは a=1,d=3,b+c=2 までであり、(2)の値はこの和だけで一意に定まる。

別解

解法2

方針

内積に影響するのは行列の対称部分だけである。(1)で a=1,d=3,b+c=2 を得た後、X=y2−x2, Y=2xy と置くと X2+Y2=1 になる。内積は 2+X+Y なので、コーシー・シュワルツの不等式から最大最小を出す。

解答

(1)

P1,P3 の条件から直ちにa=1,d=3.P2=(1/2,1/2) の条件はa+b+c+d2=3だからb+c=2.b,c は個別には定まらず、この和だけが後半に必要である。

(2)

P=(x,y)=(cos⁡t,sin⁡t) とおく。求める内積を Q とするとQ=x(ax+by)+y(cx+dy)=x2+2xy+3y2=2+(y2−x2)+2xy.ここでX=y2−x2,Y=2xyとおくとX2+Y2=(x2+y2)2=1.コーシー・シュワルツの不等式より−2≦X+Y≦2.したがって2−2≦Q≦2+2.最大の等号は X=Y=1/2 のときである。これは−cos⁡2t=sin⁡2t=12を意味し、0≦t≦π では t=3π/8 である。最小の等号は−cos⁡2t=sin⁡2t=−12のときで、t=7π/8 である。

よって最大値は 2+2(t=3π/8)、最小値は 2−2(t=7π/8)である。

総評

内積条件が、行列の成分そのものではなく対称な組み合わせを決める問題。(1)では a=1、d=3、b+c=2 までが条件から従う内容で、b,c は個別には決まらないことを明記したい。(2)では内積に現れるのが b+c だけであるため、設問はそのまま解ける。三角関数の整理では 2−cos⁡2t+sin⁡2t を 2+2sin⁡(2t−π/4) と書くと、最大最小とその時刻が読み取りやすい。 原問題の(1)は記載どおりでは b,c を個別に決定できないため、決定可能な a=1,d=3,b+c=2 を明示し、(2)が一意に解けることを確認した。

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出典: 東北大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験 理系 前期 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。