方針
交点条件を f(x)=b、f(x)=sinx−ax と書く。任意の b に対して解がただ1つとなるための、f の単調性と値域を調べる。端の a=±1 でも厳密な単調性が保たれることを確認する。
解答
f(x)=sinx−axとおく。a≧1 のときf′(x)=cosx−a≦0.等号となる点は孤立しているので f は厳密に減少する。またx→−∞limf(x)=∞,x→∞limf(x)=−∞.したがって任意の実数 b に対し f(x)=b はただ1解をもつ。
同様に a≦−1 ならf′(x)=cosx−a≧0で f は厳密に増加し、値域は実数全体である。よってこの場合も交点はただ1つである。
一方 −1<a<1 ならf′(0)=1−a>0,f′(π)=−1−a<0.したがって f は単調ではない。もしすべての b に対して f(x)=b がただ1解なら、連続な f は実数全体から実数全体への1対1対応となり、厳密に単調でなければならないので矛盾する。
以上よりa≦−1またはa≧1.
別解
解法2(2交点をもつための割線の傾き)
方針
同じ直線が正弦曲線と異なる2点で交わるなら、その傾きは2点間の割線の傾きに等しい。平均値の定理から正弦曲線の割線の傾きは絶対値1未満である。これを一意性の十分条件に使い、∣a∣<1 では平行な接線の間の切片を選んで複数交点を作る。
解答
異なる x1<x2 で同じ直線と交わるならa=x2−x1sinx2−sinx1.平均値の定理により右辺はある c∈(x1,x2) に対する cosc である。また、区間全体で cosx=1 または −1 となることはないので、異なる2点に対する割線ではx2−x1sinx2−sinx1<1.したがって ∣a∣≧1 の直線は正弦曲線と2点以上で交わらない。
さらに a\neqq0 なら sinx−ax は両端で互いに逆向きの無限大へ進むので、任意の b について少なくとも1つ交点がある。a=±1 も含め、∣a∣≧1 では交点はちょうど1つである。
逆に ∣a∣<1 なら cosx=a を満たす点が各周期に2つあり、傾き a の接線が極大側・極小側に現れる。その2本の間の切片をもつ平行線を選べば、正弦曲線と複数点で交わる。よって条件を満たさない。
したがって答えはa≦−1またはa≧1である。
総評
任意の切片に対する交点の一意性を、sinx−ax の単調性または正弦曲線の割線の傾きへ読み替える問題。目安時間は19分。端点 a=±1 を含み、∣a∣<1 は1つの反例切片で除外すればよい。2解法で必要十分性を確認した。
冊子PDFで見る名大の三角関数の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 1983年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。